カドゥケウス(ヘルメスの杖)が医学のシンボルとして誤解されることが多いとされています。
カドゥケウスは、元々は商業の神であるヘルメスが持っていた杖で、医学とは直接的な関係がありません。
※カドゥケウスと言うよりもヘルメスの杖と言ったほうが馴染み深いと思います※
ヘルメスは、ギリシア神話に登場する通信、交通、商業の神で、万能の神ゼウスの使者として、つばの広い帽子を被り、翼の生えたサンダルを履き、走り回り、そのずるさから盗人の守護神でもあります。
彼の持つ2匹の蛇が絡まり、杖の頭に翼の付いた『ヘルメスの杖』は、神の杖、聖者の杖、伝令使の杖を意味していますが、商業・通信・交通のシンボルで、『カドゥケウス』と呼ばれますが、医学のシンボルではありません。
しかし、アメリカの軍の医療部隊がカドゥケウスを使用していたことや、一部の医療機関や医療関係者がカドゥケウスを使用していることから誤解が生じたわけです。
1856年アメリカ陸軍軍医部がカドゥケウスを使用始めた理由は、軍医部は非戦闘員で戦闘には加わらず平和のための任務であることから平和のシンボルとしてカドゥケウスを使用し始めこれを紋章とした訳ですが、1902年にこの紋章はそのまま軍医部の紋章とされました。
これを見習い医学関係などの団体が、この紋章の意味を取り違え医学の紋章としてカドゥケウスを間違って使用しているということです。
真の医学の紋章は、医神アスクレピオスが持つ1匹の蛇が巻き付いた杖すなわちアスクレピオスの杖です。
医学のシンボルとしては、医神アスクレピオスが持つ杖は、医学のシンボルとして、特に欧米を中心に広く認知されており、医療機関や医療関係者のロゴなどにも使用されています。
アスクレピオスの杖は、蛇が巻き付いた棒の形をしており、蛇が再生や治癒の象徴とされているため、医療において治療や回復の象徴として使用されています。
切手は1901年ギリシャ発行の「ヘルメスシリーズ切手」の中の一枚で、左手にカドゥケウスを持ち天空をかけるヘルメスが描かれています。
切手は1954年コロンビア発行の「国際見本市と展示会開催記念切手」の中の一枚で、左手にカドゥケウスを持ち天空に立つヘルメスが描かれています。
切手は1979年ペルー発行の「ペルー口腔大学50年・第四回国際会議記念切手」で、2匹の蛇が絡まったヘルメスの杖を医学のシンボルとして描いていますが、これは誤りです。
切手は1970年セイロン発行の「セイロン医科大学100年記念切手」で、2匹の蛇が絡まったヘルメスの杖を医学のシンボルとして描いていますが、これは誤りです。
※医学のシンボルであるアスクレピオスの杖については、次回ご紹介します※