voxsangman’s blog

世界の切手を使って医学・世界の出来事・神話・法則などをわかりやすく解説していきます。

世界史ミステリー10.ペスト医師-

ペスト医師(イタリア語: medico della pest:メディコ・デッラ・ペステ)とは、ペスト患者を専門的に治療した医師のことで、ペスト(当時は黒死病と呼ばれていた)が蔓延した時代に多くのペスト患者が発生した都市から特別に雇用された人たちです。

当然のことながら報酬も都市側から支払われたため、ペスト医師は貧富の隔てなく誰であろうと公平に治療をしました。

本来であれば専門教育を受けた経験豊富な医師の仕事ですが、彼らの多くは人気のなく患者の来ない二流の医者か、自分の身を立てようとする若い医者であったそうです。

これらのペスト医師のなかには、予言で著名なミシェル・ノストラダムス(1503~1566)もそうでした。

現在でこそペストがペスト菌で引き起こされることが明らかにされ、防御法や治療法が確立こそされていますが、中世ではペストの原因が全く分からなかったことから診療に当たる医師たちは自身を守るために利用可能なものは全て利用しました。

手の込んだ被服と鋭く尖ったくちばしをつけた仮面をかぶり、そのくちばしのなかには患者がリンパ節から流れ出る膿や死体から出る悪臭を消すために酢や匂いの良い薬液を染み込ませたスポンジや布を入れ、仮面の目にはガラスをはめ込み見えるようにした服装をしていました。

2000年ネヴィス発行の「ニューミレニアム切手」の中の一枚で、中世のペスト大流行時のペスト患者を治療する医師の防備姿が描かれています。

また切手右にはペスト菌を運ぶノミも描かれています。

 

2000年ネヴィス発行ニューミレニアム切手