voxsangman’s blog

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日本史アラカルト-3.藤原道長と糖尿病-

日本人で糖尿病が強く疑われる人は、およそ1000万人と推計されています。

平安中期の政治家で、藤原氏全盛期の最頂点にたった藤原道長(966~1027)は恐らく日本で最古の糖尿病が記録されている人物です。

糖尿病の症状としては、よくのどが渇く・よく水をのむ・そして尿量が多いなどの症状があり、合併症として眼底の網膜が障害される糖尿病性網膜症や腎機能が低下する糖尿病性腎症、手足の感覚がなくなってしまう糖尿病性神経障害といった三大合併症が知られています。

糖尿病は昔から引き起こされる症状から「飲水病」とか「口渇病」などと呼ばれていました。

糖尿病のになる原因としては、基本的に乱れた生活習慣が発症を引き起こす生活習慣病ですが、発症しやすいか否かについては遺伝的素因が大きく関与します。

「この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたることも無しと思へば」と詠んだことで有名な最高権力者の藤原道長は糖尿病であったことはよく知られています。

藤原道長には糖尿病の遺伝的素因があった上に、贅沢三昧の生活をしていたことに加えて過飲過食、運動不足、その地位からストレスもあったことが想定されます。

これらはすべて糖尿病を悪化させる要因でした。

50歳を過ぎてから、「昼夜なく水を飲みたくなる、口が渇いて脱力感がある。しかし食欲は以前と変わりはない」などと、同時代の公卿であった藤原実資(957~1046)の残した日記『小右記』に記されています。

藤原道長の詠んだ『この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 虧(かけ)たることも なしと思へば』が世に知れたのは『小右記』に記されたため※

更に「小右記」に道長の目が見えなくなったことが書かれており、顔を近づけても相手が誰かわからなくなっていたということです。

糖尿病合併症による糖尿病網膜症によって失明したのでしょう。

栄耀栄華を誇る藤原道長も糖尿病には勝てず1027年12月4日、62歳でその生涯を閉じます。

切手は1994年日本発行の「第15回国際糖尿病会議記念切手」で、藤原道長とともに六角形のインスリン結晶が描かれています。

 

1994年日本発行第15回国際糖尿病会議記念切手