voxsangman’s blog

世界の切手を使って医学・世界の出来事・神話・法則などをわかりやすく解説していきます。

世界史ミステリー22.インカの脳手術-

インカ帝国は1200年ころにアンデス山脈中に栄えた、1533年にスペインのフランシスコ・ピサロ(1470頃~1541)によって滅ぼされた帝国です。

古代インカでの穿頭術の成功率は70%を超えていたいう驚くべき調査記録があります。

この地域で穴の開いた頭蓋骨が数多く見つかっているほか、骨が治癒した跡から手術後の生存率が高かったことがわかってきています。

現代のような麻酔や滅菌技術を用いないこの時代の手術で、多くの患者は回復したのには驚かされます。

古代インカの人々は、経験的に穿頭術を身につけ負傷者の延命を図るために手術をし続けていたのでしょう。

いまから2000年前には、戦闘などによって頭に傷を負った兵士の治療として、生きたまま頭蓋骨に孔をあけ、砕けた頭蓋骨の骨片をきれいに取り除く穿頭術が行われていました。
頭蓋骨の孔は左側に開けられていることが多いのですが、これは、おそらく、敵が右手で攻撃してきたことによるもので、孔の周囲の骨には、治癒後の成長の跡が見られることが多いことから、大半の患者は手術後も数年間は生存していたものと考えられています。

古代インカでは、薬物であるコカインの原料として知られるコカが栽培されており、その葉は滋養強壮や傷の麻酔に利用されていました。

これを使って古代インカの脳外科医らは苦痛に患者が暴れる心配もなく、患者の頭部を切開、脳を傷つける恐れのある頭骨の破片を取り除いて縫合する事が出来たと考えられています。

またインカ帝国は高山地帯の寒冷地に都市が集中していたために、周辺の雑菌も比較的少なかったことからし感染症を起こす率も低かったと推測されています。

切手は2005年ペルー発行の「ペルー医師会35周年記念切手」で、インカ帝国時代の穿頭術と施術された頭蓋骨、インカの地図が描かれています。

 

2005年ペルー発行ペルー医師会35周年記念切手